全身MRI(DWIBS)

DWIBS(ドゥイブス)検査について

2004年に開発された比較的新しい検査方法

DWIBSとは「Diffusion-weighted Whole body Imaging with Background body signal」の略で、2004年に日本人医師によって開発された比較的新しい検査方法です。頭頂部から骨盤部までの体幹部をMRI(Magnetic Resonance Imaging)で撮影し、病変、特にがんを探します。当院では2013年の開院以来実施しています。

最近は尿を用いた線虫による検査やがん探知犬検査(呼気を用いたがん探知犬による検査)といったがんのスクリーニング検査を多くの方が受けられています。これらの検査によってがんを持っているリスクが高いと判定された場合、どこにがんがあるかはわかりません。そのような時にも役立つのがDWIBSです。

全身MRI(DWIBS)の特長

PointX線や放射性物質による被ばくがない

DWIBS はMRIを用いる検査の一つであり、磁気を使います。つまり、X線や放射性物質による被ばくがないことは大きな特長です。DWIBSが確立されるまで、がんの全身検索を目的に全身を一度に調べる画像検査の代表はPET-CTでした。PET-CTでは放射性物質を含む薬剤を投与する必要があり、さらにX線を用いるCTを行うため被ばくをともないます。また、投与した薬剤が体外に出るまで検査機関から出ることができません。また、PET-CTは糖尿病の方の中に適さない方もいらっしゃいます。

全身MRI(DWIBS)とPET-CTとの比較

全身MRI(DWIBS) PET-CT
被ばく なし あり
(放射性薬剤とX線を用いるCTによる2重被ばく)
薬剤投与 なし 放射性薬剤を静脈注射
検査前の食事制限 なし 検査前は絶食、インスリン制限あり
検査時間 約30分 検査薬の注射を含め約3時間
検査後の処置 なし 検査薬の放射能が下がるまで待機
糖尿病患者の検査 検査可 検査できない場合がある

全身MRI(DWIBS)でわかること、わかりにくいこと

全身MRI(DWIBS)でわかること

DWIBSではがんのように細胞が正常よりも密集している部分を検出します。また、通常のリンパ節や良性腫瘍、副鼻腔炎などの炎症部位なども検出されることがあります。
もしこの検査で異常な部分が見つかった場合、どんな病気、または状態なのか確定することはできません。それを確定するためには、その部分に適した追加検査が必要です。追加検査としては、頭部であれば頭部MRI検査、胸部であれば胸部CT、肝臓や膵臓であればMRCPや腹部超音波検査、子宮や卵巣であれば骨盤MRIや超音波検査などが考えられます。つまり、DWIBSはがんの全身検索をする検査であり、それだけですべてがわかるものではありません。

わかりにくいこと

先にも述べましたようにDWIBSは細胞の密集状態をもとに全身を検索しますので、細胞のかたまり(腫瘍)になっていない消化管表面の初期がんは検出できないことがあり、食道・胃・大腸といった消化管の検診としては消化管内視鏡検査が勝ります。また、肺の前がん状態である場合がある「すりガラス結節(GGN)」の検出には胸部CTの方が適しています。乳がん検診としてはマンモグラフィーと乳腺超音波検査が推奨されます。このように臓器ごとに最適な検査があり、それらをすべて行うことが理想ですが、まず全身を体に負担の少ない検査で検索するための検査がDWIBSです。また、年1回の健診に組み込むなどして、健診の精度を高めることもお勧めしています。

DWIBSの注意点

下記の方は、医師の判断によって、受けていただけない場合があります。

  • 心臓ペースメーカー・体内埋込型除細動器をご使用中の方
  • 人工内耳・金属製の義眼など体内金属がある方
  • チタン製以外の動脈瘤クリップが入っている方
  • 入れ墨・タトゥー・アートメイクをされている方(種類・部位・範囲によります)
  • その他医師が不適当と判断した方

「がん検診」との関連

我が国では健康増進法に基づくがん検診が市区町村によって実施されています。厚労省の「指針」によるがん検診は肺がん、胃がん、子宮頸がん、乳がん、大腸がんを対象としています。これらは公的な検診であり、臓器ごとのがん検診です。また、任意型検診である人間ドックでも臓器や部位ごとの検査がオプション検査として設定されています。
DWIBSは全身を調べるものですが、これらの検診にとって代わるものではなく、相補うものと考えてよいでしょう。

検査の流れ

検査前

食事制限、水分摂取の制限はありません。食べ過ぎないようにだけご注意ください。

当日の流れ

所要時間:初診の方1時間30分 / 再診の方1時間

  • 1お着換え・問診票の記入
  • 2看護師による問診票の確認・体調確認
  • 3医師による診察
  • 4DWIBS実施(約30分)
  • 5お着換え
  • 6会計
  • 7お帰り

検査結果の報告

検査結果のレポートは、約2週間後に完成します。他の検査と組み合わせた場合は約1か月後になることがあります。検査結果のご用意ができ次第、当院より連絡を差し上げます。
結果については、院長からの結果説明(再診料5,500円)と結果レポート郵送のいずれかをお選びいただけます。

料金

全身MRI(DWIBS) 66,000円(税込)
<オプション> T2cor追加解析 11,000円(税込)
  • 上記以外に、初診料(22,000円・税込)・再診料(5,500円・税込)が別途かかります。
  • 通訳が必要な場合は、別途メディカルフィーをいただきます。

オプションの『T2cor追加解析』について

T2cor追加解析は全身MRI(DWIBS)の検査結果をより深く読み込むための画像処理です。この画像処理を行うことで解剖学的な情報をより分かりやすく得ることができます。

結果に基づくさらなる検査

さらに精密な検査を要する場合には、当院での検査に加えて、当院提携医療機関をはじめ専門医療機関での検査を受けられるよう体制が整っています。

Point当院のMRI:PHILIPS社製「Ingenia3.0T」

高品質の画像を取得できる、強磁場3.0T(テスラ)のMRIによって精度の高い検査を行います。