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コレステロールは何種類?
健診の血液検査で、コレステロールの値は多くの方が気になるものです。
コレステロールと言えば悪玉と善玉の2種類が思い浮かびますが、分子としてのコレステロールは27の炭素原子、46の水素原子、
1つの酸素原子からなる1種類、C27H46Oのみです。
コレステロールは細胞壁の部品になったり、ホルモンの原料になったりする生物の基本物質です。
そして、血液検査で測定する「総コレステロール」はC27H46Oのままの「遊離コレステロール」と、C27H46Oに脂肪酸が結合した
「コレステロールエステル」の合計です。
では、「悪玉コレステロール」と「善玉コレステロール」の区別は?ポイントはコレステロールの「運ばれ方」です。
遊離コレステロールもコレステロールエステルも水には溶けにくく、そのままでは血液中をほとんど移動できません。
これらはリン脂質やアポ蛋白、中性脂肪とともにリポ蛋白という、「栗かのこ」のようなミセル構造となって血中を移動します。
そしてこのリポ蛋白は比重によって5つに分類されます。高比重のリポ蛋白(HDL:heavy density lipoprotein)に乗っている
コレステロールがHDLコレステロール、低比重のリポ蛋白(LDL)に乗っているコレステロールがLDLコレステロールです。
HDLは全身からコレステロールを肝臓に持ち帰り、動脈硬化から守ってくれるためHDLコレステロールが善玉コレステロールと
呼ばれるのです。LDLはコレステロールを肝臓から血管を含めた末梢組織にコレステロールを運び、ある条件(過剰や酸化など)が
そろうと動脈硬化の原因になるため、LDLコレステロールは悪玉と呼ばれるます。
リポ蛋白にはあと3種類あり、それぞれ「栗かのこ」の材料構成が異なります。なお近年、HDLコレステロール以外の
コレステロールを「non(ノン)-HDLコレステロール」とし、特定健診や治療ガイドラインの場で利用されています。
同じ荷物でも載せられるトラックによって荷物の意味が違ってくる、とも言えます。
コレステロールは何種類か?分子としては1種類、存在様式からすると2種類以上、というのが答えでしょうか。