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院長ブログ
ブログと略称
改めてブログの語源を確かめると、webにlogする、weblogが元でした。
さて、医学用語にも略称がたくさんあります。略称を固有名詞のように使っていることもしばしばですが、
それぞれの意味を思い返すことも大切ですね。
たとえばALT。血液検査では「肝機能」の数値として広く使われています。アルコールの飲みすぎや脂肪肝などで上昇する
ため、気になる方も多いと思います。ALTはアラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase)から来たものです。
ALTは主に肝臓でアミノ酸の一つであるアラニンから窒素を含むアミノ基を引き抜いてピルビン酸に変え、エネルギー源にする
酵素です。この時引き抜かれるアミノ基はα-ケトグルタル酸に付けられ、こちらはグルタミン酸になります。
これは引き抜かれたアミノ基が生体にとって毒であるアンモニアにならない仕組みとも言えます。
このようにALTはアミノ酸を「燃える」ようにするだけでなく、身体を守るためにも働いています。
ALTはまさに「肝機能」の重要な一端を担っていますが、血液検査で測定される場合は「逸脱酵素」の一つとして測定されます。
もともと細胞内で働いている酵素は、細胞にダメージがあると血中に「逸脱」します。ALTが基準値を越えている場合は
肝臓のダメージを考えなければなりません。正常値である場合にも肝臓で働いてくれている大切な酵素であることを
思い浮かべて、肝臓を大事にしましょう。
日常診療でよく使われる略称の例としてALTを取り上げました。
blogのように最初の2文字を略す医学用語の略称はなかなか見かけません。