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院長ブログ

適量の飲酒

 年末年始はいつもよりもお酒を楽しむ機会が増える(増やせる?)時期です。最近はノンアルコール飲料の種類が増えてきており、お酒を飲まない方にとっても楽しめる飲料の選択肢が広がってきているのではないでしょうか。

 「百薬の長」とも言われてきたお酒・アルコール飲料ですが、このところ少し見方が変わってきたところがあります。アルコールの量として20グラムまでぐらい飲んでいたほうが、全く飲まないよりも健康によいことを示唆する報告がありましたが、最近の研究では病気、特にがんなどのリスクは少量の飲酒でも徐々に高まることが一致した見解になっています。そのリスクが「有意に」高まるのがアルコールの量として20グラムと考えてよいようです。アルコール飲料のアルコール含量表示も「%」から「グラム(g)」に変更することが進んでいます。20グラムのアルコールに相当する量はビール(5%)で500ml(中瓶1本)、日本酒(15%)で160ml(約0.9合)、ワイン(12%)で200ml、ウィスキー(40%)で60mlです。なお「%」は体積の表示なので、「g」に換算する時は注意が必要です。一般的には40-50gまでは「多め」、それ以上は「かなり多め」と考えておくとよいのではないでしょうか(ここでいうアルコールはもちろんエタノールです)。

 ただし、アルコールの代謝には大きな個人差があるのはご存じの通りです。摂取して吸収されたアルコールはアルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼという2種類の酵素で代謝され、酢酸に変化します。これらの酵素が遺伝的に弱い人はアセトアルデヒドがたまりやすく、「お酒に弱い」ことになります。進化学の研究によると「お酒に弱い」遺伝子を持っていたほうがある種の感染症に強かった、という面もあるようです。

 健康と関連するお酒の成分はアルコール以外にも糖質やプリン体もあります。お酒はご自分の適量を知って楽しみましょう。