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豆腐とカルシウム
カルシウムが丈夫な骨に必要なミネラルであることは広く知られているものの、不足しがちなミネラルの一つでもあります。ちなみに不足しがちなビタミンであるビタミンDはカルシウムの吸収や有効利用に欠かせないビタミンです。カルシウムの摂取源といえば牛乳・乳製品を思い浮かべる方も多いと思いますが、大豆製品や野菜類、魚介類も大切な摂取源です。今回は大豆製品のうち豆腐を取り上げてみたいと思います。
身近な豆腐である木綿豆腐と絹ごし豆腐でカルシウム含量に差があるでしょうか。食品成分表(8訂)をもとに、最近多く見かける「充填豆腐」を含めた3種類の豆腐についてカルシウム含量を見てみますと、100gあたりのカルシウム量は「一般的な」木綿豆腐で93㎎、「一般的な」絹ごし豆腐で75㎎、充填豆腐では31㎎とやはり差があります。ここで「一般的な」としたのは凝固剤の種類を問わない、という意味です。凝固剤の種類を区別した上での数値は、凝固剤に塩化マグネシウム(にがり)を使うと木綿豆腐で40㎎、絹ごし豆腐で30㎎、硫酸カルシウム(すまし粉)を使うと木綿豆腐で150㎎、絹ごし豆腐で120㎎となっています。これらの数値はあくまでも食品成分表に則ったものですから、地方や業者によって異なるかと思います。なお牛乳100gに含まれるカルシウムは110㎎です。
豆腐の作り方を見てみます。大豆を水によく浸したあと、臼などで摩砕して生呉(なまご)を作ります。これを加熱して煮呉(にご)とし、そこから搾りだしたのが豆乳、残ったのがおからです。豆乳を凝固させてから崩して型に入れて圧搾し、型から出して水にさらしたのが木綿豆腐、豆乳を型にいれて凝固させ、崩しと圧搾なしに型から出して水にさらしたのが絹ごし豆腐(絹の布は使いません)、豆乳を冷やして凝固剤と一緒に容器に充填し、加熱凝固して冷やしたのが充填豆腐です。充填豆腐は型出しや水へのさらしがありません。絹ごし豆腐よりも木綿豆腐のほうがカルシウムを多く含むのは主に圧搾によって密度が濃くなっているためと思われます。早起きが代名詞とも言える豆腐屋さんの軒先から出てくる湯気や大きな水槽に手を入れて豆腐を切り分ける様子が目に浮かびます。
豆腐はさまざまな調理法によって食されて来ました。江戸時代には「豆腐百珍」という本が出版され、正編だけて100種、続編と余録を合わせると278種もの料理が紹介されているそうです。豆腐もカルシウム源の一つとして、カルシウムの1日摂取目標700㎎~800㎎を目指しましょう。