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院長ブログ

耳を大切に

 五感の一つである聴覚の低下はそれ自体が生活の質を低下させるだけではなく、認知症のリスクを上昇させることからも注目されています。また、「イヤホン難聴」が若者に増えていることから、日本耳鼻咽喉科学会は「耳にやさしい生活を心がける」ために、①大音量でテレビを見たり音楽を聴いたりしない、②騒音など大きな音が常時出ている場所を避ける、③騒音下で仕事をしている方は耳栓をする、④静かな場所で耳を休ませる時間を作る、ということを推奨しています。「耳にやさしくない生活」は聴覚機能を担当する細胞のダメージ、特にアポトーシス(自爆死)をもたらすと考えられています。

 加齢に伴う聴覚低下には大きな音以外にも動脈硬化や喫煙による微小循環障害、遺伝的素因、炎症が関連します。これらは酸化ストレスを介して聴覚機能をささえる細胞のアポトーシスをおこすということが広く受け入れられています。

 酸化は電子のやりとりであり、すべての代謝の根本にあります。一方、余分な酸化を引き起こす活性酸素は「酸化ストレス」となってDNA、蛋白質、リン脂質など身体の構成物質に障害を与えます。聴覚に関わる細胞に酸化ストレスがかかると細胞内にあるミトコンドリアのDNAが障害され、アポトーシスへと進みます。このため加齢に伴う聴力低下を予防するには酸化ストレスを抑えることが役立ちそうです。そのように考えると、上記の「耳にやさしい生活」に加えて、①喫煙しないこと、②動脈硬化を予防すること、③抗酸化物質を摂取すること、④過度のカロリー摂取を避けること、⑤有酸素運動を行うこと、などが勧められます。耳を大切にすることは身体全体の健康作りにもつながります。